夜勤明けの電車で、また同じ画面を開く
夜勤が明けて、始発の逆方向の電車に座ります。目の奥が乾いていて、まぶたが重い。それでも指はスマホを開いて、看護師のnoteを読み、理学療法士の副業ブログを読み込み、作業療法士の動画を見て、薬剤師の起業ストーリーに目を通します。
情報は、もう浴びるほど集めました。それなのに、降りる駅に着くころには、自分が次に何をすればいいのかだけが残っていない。
これは能力の問題ではありません。集めたものを載せる棚を、まだ持っていないだけです。動いてきた方ほど、載せるものが多いぶん散らかって見えます。
現場で積み上げてきたのは、翻訳の力です
看護師・理学療法士・作業療法士・薬剤師は、医師よりも翻訳の達人だと考えています。医師は、医学的に正しい言葉で診断や治療を組み立てます。けれど、その言葉は患者さんやそのご家族には、そのままでは届きません。
その届かない言葉を、患者さんが分かる言葉に置き換え、生活の中で実行できる形にして手渡す。退院指導の場面、リハビリの動作の説明、お薬の飲み方の確認、ご家族への声かけ。これらはすべて、医療の言葉と生活の言葉のあいだを毎日行き来する翻訳の作業です。20年、30年とそれを続けてきた方は、橋渡しの専門性をすでに持っています。
棚は、5段あります
形1は、現場収入です。病院・施設・薬局・訪問看護ステーション・治療院など、組織の中での給与がこれにあたります。土台になる段で、現場を辞める前提の話ではありません。
形2は、現場の中で自分の名前を立ち上げる形です。院内や施設内の勉強会の講師を引き受ける、若手スタッフの教育担当を任される、患者さんやご家族向けのパンフレットや指導用資料を作る、退院支援チームや感染対策委員会など横断的な役割を担う、学会や研究会で自分の事例を発表する。収入が大きく変わるわけではありませんが、組織の中でも名前で呼ばれる立ち位置ができます。
形3は、伝える形です。noteでの有料記事の販売、Kindle個人出版、YouTubeやPodcast、メルマガや有料コミュニティの運営、医療系メディアへの寄稿や連載、学会・市民講座・企業セミナーでの講演。医療の専門知識を読者の生活の言葉に翻訳する力が、そのまま活きる場所です。
形4は、直接届ける形です。個別相談、自費の整体やケアや服薬相談、自分が設計したオンラインプログラムや継続会員制のサービス、認定講座の運営、企業の健康相談アドバイザー、学校や教育現場での招聘講師、地域包括支援センターや行政の相談員。この形の特徴は、価格を自分自身が判断することです。
形5は、資産を持つ形です。株式・債券などの金融投資、不動産投資、共同経営者として法人に参画すること、自分が設立または出資した法人からの配当。最初は少額からの出発になります。
棚に載せ直すと、動きは線になります
大事なのは、順番に試せるということです。いきなり全部やる必要はなく、形1を続けながら形2から順に立ち上げていくのが、いちばん現実的な道になります。
そして、これまでの動きも棚に載せ直すことができます。院内勉強会で講師を引き受けたのは形2。noteを始めたのは形3。健診バイトを始めたのは形1の応用。自費のサービスを試したのは形4。散らかっていたのではなく、棚がなかっただけだった、と見えてきます。棚が見えれば、次に何を強化するかも並びます。
夜勤明けの電車で読むものが変わるわけではありません。変わるのは、読んだものをどこへ置くかのほうです。