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イライラの正体

昨日は平気だったことに今日は反応してしまう日があり、その反応には理由があります。

公開日:2021年1月7日 / 気持ちと考え方

相談者

昨日は平気だったことに、今日はイライラしてしまうんです。

皆さんこんにちは、Dr.EKO博士です。
毎日をキラッキラに生きるThrive(スライブ)のためのトレーニング、スラトレ®を運営しています。

同じ一言に、昨日は笑えて、今日は笑えない

同僚がいつもの調子で、ちょっとした軽口を言います。
昨日は笑って返せました。
今日は、返す前に喉のあたりが詰まって、声のトーンが自分でも分かるくらい低くなる。

そのまま席に戻って、パソコンを開いたまま、しばらく手が動きません。
相手は何も変えていないのに、こちらの返し方だけが変わっている。
またやってしまった、と思う。

同じ一言に反応が変わるのは、相手が変わったからでも、性格が変わったからでもありません。
受け取る側の条件が、昨日と違うだけです。

感情は、天気のように変わります

晴れの日もあれば、雨の日もある。
それはごく自然なことです。
ところが日本では、いつも晴れていなければいけない、という無言のプレッシャーの中で過ごしている方が少なくありません。

雨の日に傘を差すのは、天気を否定していることになりません。
同じように、反応が強く出た日に、その日の条件を確かめるのは、自分を甘やかすことではありません。

イライラには、必ず理由があります。
それは、脳が発しているメッセージだと考えることができます。
体内の警報システムのようなもので、何かが調子を崩していることを知らせる働きをしています。
欠陥や弱さではなく、むしろ自己防衛のしくみに近いものです。

伝えようとしている中身は、三つに分けられます。

一つめは、休息が要るというサイン。
心と体が疲れの信号を送っている状態です。
二つめは、境界線の再確認。
大切にしている価値観や、ここまでという限界が侵されている、というサインです。
三つめは、変化への呼びかけ。
いまの状況に不満や不安があり、何かを変える時期が来ている、という合図です。

つまりイライラは敵ではなく、守ろうとしている側からの連絡だということになります。

扱い方は、三つの手順になります

一つめ、観察する。
判断を加えず、「いま、イライラしている」という事実をそのまま置きます。
受け入れようと頑張らなくても大丈夫です。

二つめ、記録する。
どんな状況で、何に対して反応したのかを簡単に書き出します。
スラトレ®ノートに書き留めるだけで十分です。
そのとき、身体のどこが動いたのかも一緒に書きます。
喉が詰まった、奥歯を噛んだ、息が浅くなった。
気持ちより先に、身体のほうが記録に残ります。

三つめ、解釈を問い直す。
その出来事を「対立」ではなく「相互理解」の場として捉え直してみる。
そのうえで「何を伝えようとしているんだろう」と問いかけてみます。

同じ出来事から、ちがう一日が始まる。約束が直前でなくなったという出来事に、「嫌われたに違いない」という解釈をあてると悲しみや怒りが出て、その人を誘わなくなる。同じ出来事に「自由な時間ができた」という解釈をあてるとほっとして、前から読みたかった本を開く。選べるのは②の解釈だけで、③感情と④行動はそのあとを追いかける。

同じ出来事から、ちがう一日が始まる

① 出来事
約束が、直前でなくなった。起きたことは、選べない。
② 解釈
「嫌われたに違いない」/「自由な時間ができた」。ここだけ、自分で選べる。
③ 感情
悲しみ・怒り/ほっとする。②に続いて、あとからついてくる。
④ 行動
もう、その人を誘わなくなる/前から読みたかった本を開く。

事実に意味づけをするのが「認知」です。①と②のあいだで向きが決まり、③と④はそのあとを追いかけます。研究では、①から②へ移るところで歪みを直すのが、いちばん効くとされています。(認知療法 アーロン・ベック)

Aさん(仮名)は、同僚との関係性を解釈し直したことで、イライラの頻度が減ったと感じ、仕事にも前向きに取り組めるようになったと振り返っています。
個人の感じ方であり、同じ変化を保証するものではありません。

線をどこに引いていたのかは、別の問いです

説明会に参加された方からは、こんな声もありました。
「イライラするのはあなたのせいじゃない、と言われてハッとしました」「自分の本心からイヤイヤ笑顔を作っていたことに気づきました」。
個人の感想であり、変化を保証するものではありません。

ここまでが、イライラはなぜ起きて、どう扱えるのか、という問いへの答えです。

ただ、三つのうち二つめ、大切なものが侵されているというサインだったとき、その線を自分がどこに引いていたのかは、まだ分かりません。
引いていた線が妥当だったのかどうかも、別の話です。
自分が引いている線を、どう見分けるのか。
それは、イライラの正体という話とは別の問いになります。

イライラした自分を責めるかわりに、どこに線を引いていたのかを見にいけます。
感情は、消す対象から、自分の大事なものを教える合図へ位置を変える。
抑え込むことに向けていた勢いが、どこまでなら引き受けるかを決め直すほうへ回ります。

我慢でイライラをおさえる毎日からは、抜けられます。
正体が分かれば、扱えるからです。

抜けたあとは、守り方が変わります。
大切なものが分かっているので、我慢ではなく、言葉で守れます。
爆発する前に、その場で伝える。
おさえるのに使っていた力は、大切なものを育てるほうへ回せます。

※本記事は情報提供を目的としており、医療行為・心理療法ではありません。個人の感想であり、効果を保証するものではありません。
Dr.EKO博士

この記事を書いた人

Dr.EKO博士