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怪我をしたのは、その人のせいではありません

同じ場所を繰り返し痛める選手の背景には、体だけでは説明しきれないものがあります。

公開日:2024年7月2日 / からだのこと

相談者

同じところばかり痛めるのは、私の体が弱いからでしょうか?

皆さんこんにちは、Dr.EKO博士です。
毎日をキラッキラに生きるThrive(スライブ)のためのトレーニング、スラトレ®を運営しています。

さて、同じ場所を繰り返し痛める背景には、体だけでは説明しきれないものがあります。

来院する選手は、二つに分かれます

一つは、偶発的な事故による急性外傷です。
ふとしたアクシデントで怪我を負った場合で、軽度の擦り傷から、手術を要する骨折まで含みます。
この方たちは、その後に再び受診する必要が下がっていき、医療機関との関わりが自然に終わっていきます。
病院に用がないほど元気だ、という嬉しい型です。

もう一つは、運動器に反復性の症状が出て、何度も受診される方です。
医療機関にとって、こうした再来院の増加は必ずしも望ましいことではありません。
怪我が完治に至っていないという意味だからです。
関節や腱に繰り返し起こる痛み、調子がいいときは痛くないのに調子が悪いと途端に痛む症状。
一度痛むと気分まで沈むほどで、精神状態にも影響が及ぶことが分かりました。

だから、落胆した表情で来られた選手には、まずこう声をかけるようにしています。
怪我をしたのは君のせいじゃない。
これまでひとりで本当によく頑張ってきた。

体だけを診ても、大元が止まらなければきりがありません

全国的に有名な強豪校のバレーボール部で、月刊誌に常に名前が載っていたエースの例があります。
足関節の後方が痛んでジャンプが難しい、という訴えで来られました。
アキレス腱に障害が及んでいる状況です。

こうした外傷への一般的な対応は、患部への注射や、理学療法士によるリハビリテーションです。
重症例では手術が必要になることもあります。
その過程を終えて練習復帰が許可され、数か月後にまた来られました。
今度は膝が痛む、と言います。
表情が異常に暗く、目も合いません。
話を聞くと、全国大会が近くて練習量が急に増えて、嫌になった、と。
捻挫ぐせと言うように、怪我をする癖ができていました。

メディアで見かける魅力的な選手やトップアスリートも、実は心理的な問題を抱えています。
その問題が、繰り返し体に外傷を起こす要因になっています。
根底にあるのは固定観念、特に否定的な固定観念による自己肯定感の低下です。
体だけを診ても、そこが動かないかぎり、また戻ってくることになります。

運動能力の土台は、思考力です

運動神経を良くするには、思考力を良くする。
これが大前提だと考えています。
競技技術の向上だけに注力し続けるかぎり、本当の運動能力の向上は望めません。
感情や思考の基盤を整えることで、自然に技術が伸びていく。
結果として、それが最も効率的な道になります。

人は幸福を追求するために生きていて、幸福は感情や思考を通して感じるものです。
だから選手の感情や意見を、宝物のように大切にする必要があると考えています。

近年のスポーツ界では、競技成績への過度の注目から、短期的な技術向上に偏った指導が行われがちです。
やがて競技生活を終えて一般社会で生きていく個人としての、心身の基盤づくりが軽視されている子どもたちが多くいます。
そして成人後、スポーツには外傷がつきものだ、という誤った認識が広がることになりました。
スポーツは楽しくない、苦痛に耐えることだ、という認識も同じ場所から出ています。
本来は、楽しく、幸福をもたらし、自己成長を遂げるためのものだったはずです。

競争していい場には、条件があります

競争はもう要らない、というのが行き着いた結論です。
より正確には、競争を楽しむべき場を明確に選び、それ以外の生活や環境では競争を避けるべきだ、ということです。
本来の競争すべき場で競争したい人は、存分に競争すればよい。
競争すべきでない場では、絶対に競争を避ける。
ただし、常に他者と比べる習慣や、叱責されるのではないかという不安を抱えていると、この区別は非常に難しくなります。

競争すべき場とは、単に公平なルールが存在する環境のことです。
条件は七つあります。
世界標準のルールを採用し、その場だけの局所的なルールを使わないこと。
競争の前に、競争を楽しむマインドセットを作っておくこと。
決して個人の人格を攻撃しないこと。
場を離れたら競争の話題を持ち出さないこと。
相手が競争に応じないなら強要しないこと。
年齢差、体格差、性別差、経歴の差といった競技に関係のない要素を持ち込まないこと。
そして場を離れたら、感謝と友情と愛情を持って相手を尊重すること。

当てはまる場としては、試験の得点競争、暗記コンテスト、料理コンクール、そしてスポーツが挙がります。
共通しているのは、公平なルールが必ず存在することです。
スポーツは単なる競技ではなく、文化や芸術としての側面を持っています。

勝ち負けの話を持ち込まれたときに、その場では受けない、と言えるようになります。
日曜の試合では本気で勝ちにいって、月曜の会議では順位の話をしない。
競争を嫌っているのではなく、場を選んでいるだけです。
いつでも誰かと比べられている感覚から、比べる場を自分で決める感覚へ。
人と競わない日が増えるほど、競う日は面白くなります。

※本記事は情報提供を目的としており、医療行為・心理療法ではありません。個人の感想であり、効果を保証するものではありません。
Dr.EKO博士

この記事を書いた人

Dr.EKO博士